統合失調症の認知機能に関与する遺伝子ネットワークを同定
– 統合失調症の原因解明や薬剤の開発に期待 –
概要
大阪大学大学院連合小児発達学研究科の橋本亮太准教授、大井一高研究員らは、統合失調症患者で特徴的に障害される知能、記憶、注意、実行機能など複数の認知機能に関わる遺伝子解析を行い、NMDA受容体を介したグルタミン酸機能や主要組織適合遺伝子複合体(MHC)を介した免疫機能に関わる遺伝子ネットワークが疾患の認知機能に関与していることを新たに見出しました。この発見は、統合失調症、認知機能、脳構造などの全ゲノム関連解析(GWAS:genome wide association study)を行っている橋本准教授らの共同研究の成果として見出されたものです。これまでに、統合失調症の病因としてグルタミン酸や免疫機能が関わっていることは報告がありましたが、統合失調症の認知機能障害の病因にも同様にグルタミン酸や免疫機能が関わっていることを同定したことは、精神医学領域において注目される成果です。今後、これら遺伝子ネットワークに対する創薬を開発することにより、統合失調症だけでなくその認知機能障害にも奏効する創薬の開発が期待されます。
リリース日
2014年12月16日
掲載紙
Schizophrenia Bulletin