統合失調症診断医療機器プログラム研究
(Schizophrenia Diagnostic Medical Device Program:略称SDM研究)
精神疾患の診断は医師の問診に基づく主観的評価が主体となるため、症状が不明確な発症早期での診断の一致率は低くなることが知られています。代表的な精神疾患である統合失調症は早期治療によりその予後が改善することが知られていますが、発症早期は症状がはっきりせず、その経過も短く診断が困難です。従って、発症早期に現れる客観的かつ科学的なマーカーを明らかにし、診療現場で測定することが望まれています。統合失調症では、認知社会機能、視線、脳神経画像などの異常が繰り返し報告されていることから、これらの検査データやデジタルフェノタイピングデータ用いた総合判断を行うことによって診断を行うことが可能となると考えられます。本研究においては、血液、画像、認知機能などの検査データと、視線や発語などデジタルフェノタイピングデータを用いて、統合失調症の診断を可能にする医療機器プログラムの開発を行います。本研究に被験者としてご参加頂ける方を随時募集しております。
タブレットを用いた医療機器プログラム
本研究では、認知・社会機能や視線などのフェノタイプをタブレットを用いて簡便に測定・自動解析できるようにします。従来は、認知・社会機能検査は紙と鉛筆を用いて心理士が患者と対面で行っていました。また、視線検査はハイスペックの研究用機器で研究者が測定していました。本研究では、これを簡便にタブレットで測定できる新しい技術を開発しますが、この新技術は、精神科領域においては人が対面で診察や検査を行うという現状からのパラダイムシフトとなるでしょう。
AI技術による医療のサポート
深層学習・機械学習モデル等のAI技術を活用して、解析の精度の向上を目指します。より有効な特徴を抽出して、統合失調症の鑑別の精度向上や、リスクが低い場合に除外する際の新たな方法論を探求します。医療者とAIのコラボレーションによる、新しい診断の在り方を示します。
- フューチャー株式会社ヘルスケアイノベーショングループ
- 奈良県立医科大学医学部医学科精神医学講座
- 岐阜大学医学部精神科
- 九州大学大学院医学研究院精神病態医学
- 北海道大学大学院医学研究院神経病態学分野精神医学教室
- 東京大学医学部附属病院リハビリテーション部
- 徳島大学大学院医歯薬学研究部精神医学分野
- 京都大学医学研究科精神医学教室
- 山口大学大学院医学系研究科高次脳機能病態学講座