精神科医
当研究室で活躍する精神科医の声を紹介します。普段は所属元の医局で勤務しながら、リモートで研究指導を受けているオンライン国内留学の精神科医(研究生)、週に1回当研究室に来て研究指導を受けている社会人国内留学の精神科医(研究生)、研究員としての雇用で1年間の国内留学後に所属元の医局に戻って活躍されている精神科医(研究員)など、多様なキャリア形成に対応しています。1人1人の精神科医の先生たちの最適な学び方について、所属元の教授・指導教官も交えて相談に応じています。のんびり楽しみコースもありますので、ちょっと研究に興味ある、一度環境を変えてみたい、などといった希望も大歓迎です。
研究志向でなかった私が今に至る大きな一つの転機が、精神科1年目に受講したEGUIDEでした。同時期に自大学の薬理班で処方調査の手伝いをしていたこともあり、エビデンスプラクティスギャップを埋め、適切な治療を広く届けるというEGUIDEの理念に心を打たれました。研究・教育が臨床に直結するやりがいと面白さを感じ、後期研修が終わると同時に自大学の大学院に進学しました。まずは自大学の処方調査を1本、論文としてまとめましたが、やはりEGUIDEの本丸である当部で学びたいと考え、自大学での臨床と研究の合間を縫って当部に通わせていただくこととなりました。
万単位のビッグデータを扱うEGUIDEのスケールに心躍る一方で、部長から「すぐ解析に入るか、基礎トレーニングから始めるか」と問われ、自らの立ち位置を知るために後者を選択しました。ここで驚いたのが、事務・心理士を含む多職種で、データ取り扱いに関する共通の基礎トレーニングが整備されていたことです。まず約2か月、Excelでの緻密なデータ管理を徹底練習し、続く約2か月でEGUIDEデータのダブルチェックを担当し、既に多数刊行されているEGUIDEの既報を集中的に読み込みました。この頃から、EGUIDEの中でもガイドライン一致率に興味を持ち、週半日と別に月1回の定例ミーティングにも参加するようになりました。当部に通い始めて半年が経った頃から、自分のテーマを持って研究を開始しました。
EGUIDEデータ解析に進む前段として、まずは生データに手で触れることを重視し、自施設の患者250例のガイドライン一致率を半年かけて調査し、学会発表しました。次いで、ガイドライン一致率とDIEPSSの関連の解析に取り組み、こちらも学会で発表予定です。いずれも論文化を進め、投稿中です。現在はEGUIDEの各ミーティングに顔を出させていただき、解析にも携わっています。
正直、最初の半年は「早く解析したい、論文を書きたい」という焦りもありました。しかし、基礎を徹底した下積みがあったからこそ、今、複数の原稿を並行して進めつつ次の研究に踏み出せているのだと思います。週半日とは思えないほどの丁寧かつ熱量高いご指導のおかげで、2年前の自分と比べて明らかに実力が付いたと実感しています。以上、週半日×2年間での進捗と所感のご報告でした。先生方のご検討の一助となれば幸いです。
東京慈恵会医科大学精神医学講座 森 啓輔 先生
仕事内容 | 国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所精神疾患病態研究部では、日本を代表する精神医学多施設共同研究体であるCOCOROを牽引し、統合失調症、気分障害、発達障害等の臨床研究データ、バイオリソース等の収集、蓄積及び管理を行い、新たな疾患分類による病態解明と診断法・治療法の開発を行っています。 ※上記について関心が高く、研究チームのメンバーとして意欲的に研究を推進することができることが求められます。研究の進捗によってはこれら以外の作業を行うことがあります。また、一般的なPC操作スキル(ワード、エクセル、メール、インターネット)、他職種との調整等を行うため、コミュニケーション能力や協調性などが必要となります。 |
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応募資格 |
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待遇等 | ご経験、勤務年数、能力によって変わります。科研費研究員をご参照ください。大学院生の受け入れなどもしておりますので、個別にお問い合わせください。 |

橋本亮太 ryotahashimoto55@ncnp.go.jp