統合失調症患者における薬物治療ガイドライン一致率と記憶機能との関係

概要

統合失調症治療ガイドラインでは第二世代抗精神病薬による単剤治療が推奨され、治療抵抗性統合失調症の場合クロザピンによる単剤治療が推奨されています。抗うつ薬、気分安定薬、抗コリン薬、抗不安薬・睡眠薬の併用や、向精神薬の屯用は推奨されません。統合失調症の認知機能障害は陽性症状および陰性症状と並ぶ中核症状であり、認知機能障害を改善するためにはガイドラインの推奨治療が望まれます。

我々はこれまでに実臨床における処方と統合失調症薬物治療ガイドラインの推奨内容がどの程度一致しているかを評価するツールとして、ガイドライン一致率の計算式を開発しました。ガイドライン一致率に関する詳細はこちらのページをご覧ください。

本研究ではリアルワールドデータを用いて統合失調症患者さんについてガイドライン一致率と記憶機能の関係を調べました。その結果、処方内容のガイドライン一致率が高い患者さんほど、記憶機能が良いことが分かりました(下図)。

図 「ガイドライン一致率」と記憶機能の関係

図

<今回の結果を踏まえ、精神科医の皆様に以下の実践を提案します>

  • 統合失調症の認知機能障害を改善するために、統合失調症薬物治療ガイドラインに基づいた治療の実践を提案します。

この内容は「Journal of Psychiatric Research」に掲載されました。 原文はこちら


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