EGUIDEプロジェクト概要

EGUIDEプロジェクトの様子

精神科医療においては、薬物療法と心理社会学的療法がその両輪ですが、その実践については、臨床家ごとのばらつきが大きく、よりよい医療を普及させることが必要とされています。例えば、代表的な精神疾患の一つである統合失調症においては、抗精神病薬の単剤治療を行うことが海外の各種ガイドラインで推奨されていますが、本邦では諸外国と比較して突出して抗精神病薬の多剤投与が多く薬剤数が多いことが知られています。2011年及び2016年の日本精神神経学会においては、統合失調症における多剤療法の問題が取り上げられたシンポジウムが行われ、抗精神病薬の多剤併用率が65%程度であり、抗パーキンソン薬、抗不安薬/睡眠薬、気分安定薬の併用率もそれぞれが30-80%と高いことが報告されました。2014年には、向精神薬の多剤処方に対する診療報酬の減額がなされました。

本邦においては、統合失調症薬物治療ガイドラインが2015年9月に日本神経精神薬理学会より発表されました。このガイドラインは、精神科領域において本邦初のMinds法に則ったエビデンスに基づいたものであり、統合失調症においては抗精神病薬の単剤治療を行うことを明確に推奨しており、学会のホームページにて無料でダウンロードできるようになっています。また、うつ病学会においてもうつ病治療ガイドラインを2016年に改訂しており、これらも学会のホームページにて無料でダウンロードできます。

このような状況にもかかわらず、まだこれらの治療ガイドラインが十分に普及したとはいえない現状があり、よりよい精神科医療を広めるための工夫が必要であると考えられています。そこで、EGUIDEプロジェクト(精神科医療の普及と教育に対するガイドラインの効果に関する研究:Effectiveness of GUIdeline for Dissemination and Education in psychiatric treatment)においては、ガイドラインの普及と教育を行うために、ガイドラインの講習を若手の精神科医を対象に行うことにより、その効果が得られるかどうかを検討することを目的とします。EGUIDEプロジェクトにて講習を行うこと自体によってガイドラインの普及が進み若手の精神科医により適切な治療の教育が行われ、その結果として、より適切な治療が広く行われるようになることが期待できます。また、教育効果を検証することにより、さらに効果的な講習の方法論が開発され、精神科医および精神科医療にかかわるコメディカルスタッフへの生涯教育法の開発や当事者やその家族への教育にもつながる可能性もあります。

臨床現場への還元を目指して、EGUIDEプロジェクトチームは、ガイドラインの教育と普及を推進します。

EGUIDEプロジェクトチーム
代表 古郡規雄

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