EGUIDEプロジェクトの戦略
★EGUIDEプロジェクトの戦略的デザイン
EGUIDEでは、以下の2つのポイントを重視しています。
- 研究と臨床を融合し、臨床の実態に沿わせることで臨床現場に実装しやすいデザインにすること
- 実装には継続した活動が重要であり、持続可能なデザインとすること
ガイドラインの実装に効果がある戦略として、講師が参加者に直接教育を行うこと、参加者に結果をフィードバックすること、の2つがわかっています。
EGUIDEでは、講習の講師(指導医)を独自に育成しています。また、指導医は講習会だけではなく、臨床においても、日常的に他の精神科医に教育を行う立場の医師でもあります。そのため、指導医は現場の精神科医のニーズや意見を把握しながら、臨床の実態に沿わせた形で教育を行うことができます。また、プロジェクト内で自身の成功体験や現場のニーズを共有し、切磋琢磨しています。さらに、ガイドラインの講習会の参加者の中から新たな指導医が続々と誕生し、臨床現場の教育や普及がさらに促進され、継続した活動を実現しています。
EGUIDEでは、全参加施設において、ガイドラインの推奨治療をどの程度行っているか数値化し、他施設との比較も含めて各施設に結果を配布しています。各施設の責任者は、この情報を自施設の精神科医にフィードバックし、考察を行うことで臨床の改善に役立てています。また、研究の成果を論文として公表し、本プロジェクトの意義を証明していくことで継続したプロジェクトの運営を可能としています。
既存のガイドラインの作成・普及活動は一方通行で1回切りの戦略デザインしかありません(添付図の青い矢印)。EGUIDEでは、参加者からのフィードバック(結果)を基に講習内容の修正や改善を行い、さらにはガイドラインの改訂時にもプロジェクトで得た情報を活用しています(添付図のオレンジ色の矢印)。改訂した内容を用いて、翌年の講習会を実施し、新規参加者のリクルートを行っています。既存の戦略と新しい戦略を組み合わせて、継続して活動することで戦略を洗練しています。