入退院時処方の比較による精神科薬物治療の実態調査:EGUIDEプロジェクトデータより
概要
統合失調症薬物治療ガイドラインでは、抗精神病薬の併用、他の向精神薬の併用は推奨されていません。うつ病ガイドラインにおいても、抗うつ薬の併用、他の向精神薬の併用は一部の場合を除き、推奨されていません。以前の我々の調査から、統合失調症では国際的な水準と比較して抗精神病薬の多剤併用が多い(全体の43.1%)ことがわかっています。今回入院前後での処方の変化を調査したところ、下記にあげられている4つのことが主にわかりました(図1)。
図1 グラフィカルアブストラクト
<今回の結果を踏まえ、精神科医の皆様に以下の実践を提案します>
- 外来治療の段階から、単剤での治療を心がけましょう。
- 統合失調症は抗精神病薬単剤治療、うつ病は抗うつ薬単剤治療を75%の達成率を目標に入院中に調整できるか検討しましょう。
- やむを得ず多剤となる場合は、その妥当性について医療者間で、また医療者と当事者、当事者ご家族との間で話し合い、副作用に対する注意喚起を行いましょう。
- つねに医療者間、医療者と当事者、当事者のご家族との間での情報共有と共同意思決定を意識しましょう。
この内容は「BMC Psychiatry」に掲載されました。 原文はこちら