精神科医療における教育的波及効果:ガイドライン推奨治療の施設内での広がり

概要

EGUIDEプロジェクトは、EGUIDE講習を受けた精神科医の治療行動がガイドラインが推奨する方向に改善することを報告してきました。しかし、その効果が周囲の非受講医にまで広がる「教育的波及効果」については十分に検証されていませんでした。

本研究では、全国298施設の統合失調症患者(N=22,032)およびうつ病患者(N=11,207)について、EGUIDE講習受講医がいない施設の患者(対照群)、施設内に受講医はいるが非受講医が主治医の患者(波及群)、受講医が主治医の患者(直接介入群)の3群間で、ガイドライン推奨治療実施率(QI)(表)を比較しました。

解析の結果、統合失調症とうつ病の多くのQIにおいて遵守率は 対照群 < 波及群 < 直接介入群 と段階的に高まっていることが示されました(図)。つまり、講習を直接受けていない医師であっても、同じ施設内に受講医がいるだけでガイドライン推奨治療が有意に向上していた点です。これは、カンファレンスや日常的な診療での交流を通じた「クラスター内教育波及効果」が、実臨床の現場で初めて実証されたことを意味します。

表:統合失調症およびうつ病のガイドライン推奨治療実施率(QI)

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なお、EGUIDEにおけるQIは都度内容や順番を再検討しているため、過去に発表されたQIと異なっている場合があります。

図:EGUIDE講習効果に基づく各群におけるガイドライン推奨治療実施率(QI)の変化

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EGUIDE講習効果に基づく対照群、波及群、直接介入群それぞれのQIをプロットしました。QIの内容は表を参照。アスタリスク*はロジスティック回帰分析におけるQIの有意な変化を示します。

<今回の結果を踏まえ、精神科医師の皆様に以下を提案します>

  • EGUIDE講習の受講は、個人の治療行動改善に加えて施設全体の改善に繋がることが期待されるため、未受講の方はEGUIDE講習を受講し、施設内で学びを共有するようにしましょう。

この内容は「Asian Journal of Psychiatry」に掲載されました。 原文はこちら


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