EGUIDEのガイドライン講習が統合失調症とうつ病の治療における睡眠薬処方に与える影響:多施設共同研究

概要

EGUIDEプロジェクトは統合失調症とうつ病のガイドライン講習を行い、実臨床における教育の効果の検証を行っています。この講習では、統合失調症とうつ病に併存する睡眠障害の治療の適正化を目的として、睡眠薬を用いた薬物治療を行う際は、必要性を慎重に検討することや漫然と処方を継続しないように教育しています。

本研究では、治療行動に対する講習の効果を検証するために、講習を受講した医師が担当した患者と、講習を受講していない医師が担当した患者で、睡眠薬の処方率と、睡眠薬の種類毎の処方率について比較しました(下表)。

結果、統合失調症、うつ病の両疾患において、講習を受講した医師が担当した患者においては、睡眠薬の処方率が低いこと(統合失調症 受講群50.9%, 非受講群57.5%; うつ病 受講群60.9%, 非受講群66.3%)、睡眠薬の種類ではベンゾジアゼピン受容体作動薬の処方率が低いこと(統合失調症 受講群32.5%, 非受講群40.9%; うつ病 受講群26.1%, 非受講群35.6%)が明らかになりました(下表)。多変量ロジスティック回帰分析においても、これらの有意な関連が認められました。

<今回の結果を踏まえ、精神科医師のみなさまに以下を提案します>
  • 統合失調症とうつ病に併存する睡眠障害の治療を行う際には、十分なアセスメントを行い、適正な治療を行いましょう。睡眠薬を用いた薬物治療を行う際には、必要性を慎重に検討し、漫然と継続しないようにしましょう。
  • ガイドラインの推奨治療についての知識をアップデートし、患者さんの治療内容を見直し、共同意思決定を経て、より良い治療を提供していくように心がけましょう。
表

この内容は「BMC Psychiatry」に掲載されました。 原文はこちら


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