統合失調症患者における統合失調症薬物治療ガイドラインに基づく治療の一致率と精神症状との関連
概要
エビデンスレベルの高い統合失調症の薬物治療を行うには、精神科医は治療ガイドラインを遵守する必要があります。私たちは、これまでに精神科医がどの程度統合失調症薬物治療ガイドラインと一致しているかを患者さんごとに評価することができるガイドライン一致率(IFS)を開発しています。 本研究では、統合失調症患者さん400名の精神科医の「ガイドライン一致率」と陽性陰性症状評価尺度(PANSS)を用い評価した精神症状との関係を調べました。その結果、精神科医の「ガイドライン一致率」が高いほど精神症状が軽いことがわかりました。また、一部の患者さんでは2年間以上の経過の中で 「ガイドライン一致率」の改善度と精神症状の改善度との間に正の相関関係があることがわかりました。本研究結果は、精神科医の「ガイドライン一致率」の改善が精神症状の改善に影響することを示唆しています。
<今回の結果を踏まえ、精神科医師のみなさまに以下の実践を提案します>
- 統合失調症の薬物治療では、精神症状改善の観点から「ガイドライン一致率」の高い治療の実践を提案します。
- 統合失調症の薬物治療では、長期的視点でも精神症状改善の観点から「ガイドライン一致率」の高める治療を目指すことを提案します。
図 「ガイドライン一致率」と精神症状(PANSS)の関係
この内容は「International Journal of Neuropsychopharmacology 26」に掲載されました。 原文はこちら