統合失調症患者における抗コリン薬処方率:抗精神病薬の処方パターンと施設特性による解析
概要
統合失調症薬物治療ガイドラインでは、抗コリン薬の長期使用は推奨されていません。今回の研究では、わが国の退院時には30.5%の統合失調症患者に抗コリン薬が処方されていました。抗コリン薬は、抗精神病薬多剤併用療法、抗精神病薬高用量、第一世代抗精神病薬の使用時に処方率が高いことが示されました。また、施設ごとの解析を行ったところ抗コリン薬の処方率は0~66.7%と施設間格差が大きいことが分かりました(図1)。
<今回の結果を踏まえ、精神科医師のみなさまに以下の実践を提案します>
- まずは自施設の抗コリン薬処方率を知りましょう。
- 第二世代抗精神病薬の単剤治療を心がけましょう
- すでに抗コリン薬が処方されている症例では、多職種で処方を見直し抗コリン薬による副作用(口渇、便秘、認知機能障害など)を評価し、抗コリン薬の必要性、主剤の変更も含めて検討しましょう。
(図1)各施設における退院時の抗コリン薬処方率
この内容は「Frontiers in Psychiatry」に掲載されました。 原文はこちら