統合失調症治療におけるベンゾジアゼピン受容体作動薬の処方と便秘薬使用リスクの関連性

概要

統合失調症薬物治療ガイドラインでは慢性便秘症を起こしやすい薬剤として、抗コリン作用を持つ薬剤が挙げられており、抗精神病薬に併用しないことが望ましいとされていますが、実態はあまり調査されていません。 本研究では2020年4月から9月に、愛媛大学、福岡大学、杏林大学、獨協医科大学、東京大学、北里大学、自治医科大学、慈恵医科大学を退院した統合失調症患者さん139名の退院時の処方調査を行い、便秘薬の有無による比較検討を行いました。

結果、表のように便秘薬の処方がある患者さんは、ベンゾジアゼピン受容体作動薬の処方割合が66%と、便秘薬の処方がない患者さんの39%に比べ、有意に高くなっていました(多変量解析によるベンゾジアゼピン受容体作動薬の有無によるオッズ比は3.0倍)。これらから、 ベンゾジアゼピン受容体作動薬の処方は便秘薬の処方と関連している可能性があります。

<今回の結果を踏まえ、精神科医の皆様に以下の実践を提案します>

  • 統合失調症の患者さんに便秘薬が処方されている際は、向精神薬として、抗コリン薬だけでなくベンゾジアゼピン受容体作動薬の併用処方にも留意し、減量・中止を検討する必要があります。
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この内容は「Neuropsychopharmacology Reports」に掲載されました。 原文はこちら


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