大うつ病性障害の重症度診断の有無及び重症度の違いによる治療の特徴:多施設共同研究の結果

概要

大うつ病性障害の治療ガイドラインでは、重症度に応じて推奨される治療が異なります。本研究では1484名のうつ病患者を解析対象とし、退院サマリーへの重症度診断の記載の有無と重症度(軽症・中等症/重症・精神病性)の診断の違いを用いて治療内容の比較を行いました。重症度の記載率は平均56.8%で施設ごとに0~100%と大きくばらついていることがわかりました。治療内容は、重症度診断の記載がない患者群に比べ、重症度診断の記載がある患者群の方が、抗精神病薬の非処方率と気分安定薬・抗てんかん薬の非処方率、電気けいれん療法(m-ECT)の施行率が高いことがわかりました(Table 1)。また、重症度の違いによる治療内容の比較では、m-ECT施行率が重症度が上がるにつれて高くなっていました。

<今回の結果を踏まえ、精神科医師のみなさまに以下を提案します>
うつ病治療ガイドラインに準じた治療を行うためにもまずは重症度を検討しましょう。重症度の記載を行うことが、薬物療法の均てん化につながる可能性があります。また、重症度の内容で治療行動が変わるため、重症度の内容も検討しましょう。

Table1

この内容は「Asian Jornal of psychiatry Volume 74」に掲載されました。 原文はこちら


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